2025年問題:高齢者用の住宅・施設・人材が足りなくなる

団塊世代がそろって75歳になる2025年が介護問題のピークになる年。これを2025年問題と言うそうです。週刊エコノミストの田村明孝氏の記事を読んで驚きました。

この問題は世界に先駆けて日本が直面する大問題。現時点でも足りない高齢者用の住居・施設が更に足りなくなります。2025年にピッタリ問題が生じるのではなく、ゆっくりと問題が深刻化していきます。

2025年問題:高齢者の住宅・施設がない!

団塊の世代は約800万人。第二次世界大戦直後のベビーブーム世代(1947年(昭和22年)~1949年(昭和24年)生まれ)が、2025年に介護が必要になりそうな75歳を迎えます。75歳以上の人の30%弱は、要介護の認定を受けているという厚生労働省の発表もありました。

要介護になると、一人では生活しにくい状態ですし、バリアフリーな住居でないと危険が多い。

高齢者の住宅

日本人の平均寿命は、2016年公表のデータ(2015年)で男女共に80歳を超えています。

  • 男性 80.79歳
  • 女性 87.05歳

高齢者用の施設が足りない

エコノミストの田村氏の調査では、2025年に供給戸数が191万戸に対する要介護3の認定者は285万人。

特に、東京や大阪といった人口密集地が一斉に高齢化するというのも危険なシナリオ。高齢者住宅施設全体で、ホーム数51,636、戸数(床数)205万4,084件が2016年10月の数字。

特別養護老人ホームの整備は、1床あたり1200万円。個室ではない共同部屋(多床室)でさえこれですし、介護をする人材も不足しているのが現在の状況。

これから、ますます、勤労者人口は減りますから、人的な解決策は移民orロボットの二択。

厚生労働省は、地域包括ケアシステムを推進。

2025年(平成37年)を目途に、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、地域の包括的な支援・サービス提供体制(地域包括ケアシステム)の構築を推進しています。厚生労働省

地域包括ケアシステム

全体の絵図としては、良い案ですが、個別の施設・人材は全く足りません。

さらに、政府はサービス付き高齢者向け住宅を補助金付きで奨励。これを調べてみると、自立できている高齢者用としか思えません。wikiより抜粋

バリアフリー(段差のない床、手すり、車いすでも利用しやすい廊下幅)。

各専用部分に、水洗便所・洗面設備・台所・収納・浴室を備える(ただし、台所・収納・浴室は、共用部分に備えることにより各戸に備える場合と同等以上の居住環境が確保される場合は、各戸に備えずとも可)。

各専用部分の床面積は原則25m2以上(共用の居間・食堂・台所そのほかが十分な面積を有する場合は18m2以上)。

ケアの専門家(社会福祉法人・医療法人・指定居宅サービス事業所等の職員、医師、看護師、介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員、介護職員初任者研修課程修了者)が少なくとも日中常駐し、安否確認サービスと生活相談サービスを、すべての入居者に対して提供する

おひとり様での老後暮らしには良くても老老介護の問題・介護離職の問題などを解決できないのではないでしょうか。

特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護療養型医療施設などを拡大しながら、無理な延命措置には一定の制限を設けるなどを考えないと、難しいでしょう。2035年を過ぎると、今度は、高齢者人口が減少しはじめますから、高齢者用施設ばかり作ると数十年後には空き施設ばかりになりかねません。

現在の政府支出で圧倒的に多額を占める年金を上手に介護及び住居に転用する工夫ができればいいのになと思います。年金を減らして介護に充てるのではなく、個々人に支払う年金を大幅に減らすのではなく、従来通り、個々人に支払った上で、そこから介護施設の費用を賄うような体制を望みます。

日本全体での空き家数は、しばらく増加し続けるはずです。そのままではバリアフリーの観点で住めませんから、改造するなどでお年寄りに優しい家にする工夫も大切でしょう。



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