廃用症候群とは・・・動かないことで心身・筋力が衰えること
病気や怪我で入院すると、ベッドの上での生活が中心で、動かなくなります。すると筋力が衰え関節が固くなり、起き上がることや歩くことができなくなります。
この症状を廃用症候群といいます。入院すると身体が衰えるというのは、経験則でご存じの方も多いはず。
それまで元気に歩けていた方が、怪我や病気で入院した途端に、動けなくなって介護が必要になる事例も廃用症候群です。
廃用症候群の代表的な症状
- 筋萎縮:筋肉が衰えて弱くなる
- 関節拘縮:関節の動きが悪くなり曲げたり伸ばしたりできなくなる
- 骨粗しょう症:骨が弱りもろくなる
- 循環器;低血圧や貧血、心拍数低下
- 圧迫性末梢神経障害:神経が圧迫されてのマヒ
- 精神障害:うつ、せん妄、仮性の認知症
- 褥瘡(じょくそう)・・・床ずれ
デンマークの研究では、足をまったく動かさない間が2週間続くと、若者で28%、高齢者で23%も筋力低下することがとが分かりました。その後に6週間のリハビリを行うことで、完全ではないにせよ、かなりの筋力を回復させることができました。メディカルジャーナル
そのため、病院では、廃用症候群になってしまわないように、退院に向けてリハビリを行ってくれます。問題は、ほとんどのケースでリハビリ不足であること。脳梗塞などで完全に問題が生じた場合は、リハビリに関して、しっかりと時間を取ってくれる事例が多いはず。
ところが、病状が回復した場合、普通の病院では退院を迫られてしまいます。高齢者で起きるのがやっと・介護が必要になった場合、急に自宅に帰っても介護する人がいない・転んで怪我をしてしまうということに。これでは、退院する意味がありませんね。
歩けない・起き上がれない場合は、すぐに退院するのではなく、リハビリ施設のある病院への転院ができないかどうか病院側に相談してみましょう。もし、近くの病院が満員で受け入れにくい場合は、少々、地域を広げてでもリハビリできる病院へ転院した方がいいと思います。
最初に入院する病院は、リハビリよりも病気の治療をメインとする病院であることがほとんど。リハビリのスタッフは不足していることが多く、1日20分程度のリハビリあやっとのところがほとんど。これでは、しばらく、安静にしていた高齢者の身体は回復しません。そこで、安静状態を脱したら、主治医・看護師と相談しながら自力でできるリハビリを行っておきましょう。
自分で指や手足をもむ。家族に軽くマッサージをしてもらうところからはじめ、手足をできるだけ動かすなどは、ベッドの上でもできます。
廃用症候群に備えて
- 安静状態を脱したら自力でのリハビリ
- 起き上がれない・歩けない場合は、リハビリの転院先を探す
- 要介護認定を取る
入院前は、元気だったために、要介護・支援の認定を申請していなかった場合は、早めに申請しておきましょう。行政や地域の高齢者支援センターとのつながりを作っておくことも大事です。
病院でのリハビリで、元通りになればベスト。そうならない事も多いので、自宅の改修(介護保険の活用)・退院後の生活をどうするか検討しておかなければいけません。