嚥下

知っておきたい。高齢になると水や食べ物を飲食しにくくなる:嚥下障害とは

食べ物や飲み物を口に入れて噛んで飲み込み動作を嚥下といいます。高齢になるとこの動作ができにくくなることがあります。

嚥下障害とは

大きくわけると、飲み込みにくくなる・むせるの二つの症状が出てきます。

  • 食べ物や飲み物を飲みこみにくくなる=嚥下困難
  • 飲食時にむせる=誤嚥

これが起きると、食べること・飲むこと自体がストレスになり、食事が楽しくなくなり栄養不足が起きます。また、水を飲む量も減るために、脱水症状が起きやすくなります。

さらに、食べ物を誤って気道の方に入ることで、誤嚥性肺炎が起きるリスクが高まります。高齢者が起こす肺炎の多くは、この誤嚥性肺炎だとも言われています。日本呼吸器学会によると、肺炎で死亡する人の94%が75歳以上の高齢者。

誤嚥性肺炎は、細菌が唾液や胃液と共に肺に流れ込んで生じる肺炎です。高齢者の肺炎の70%以上が誤嚥に関係していると言われています。再発を繰り返す特徴があり、それにより耐性菌が発生し、抗菌薬治療に抵抗性をもつことがあります。そのため優れた抗菌薬治療が開発されている現在でも治療困難なことが多く、高齢者の死亡原因となっています。日本呼吸器学会

普通の状態だと、口から入った飲食物は、自然に食道の方に向かいます。ところが、高齢で身体の機能が弱っている・パーキンソン病・脳卒中・脳梗塞等の後遺症などにより、嚥下障害が生じます。

水を飲む

若い方でも、時々、食べ物を気道に詰まらせてしまうことがありますよね。その症状と同じです。

食べ物はもちろん水は生命を維持する大切なもの。ただでさえ、高齢者はトイレに行く回数を減らしたいと水を飲む量がすくなくなりがち。そこに嚥下障害が重なるとさらに水分摂取量が減ってしまいます。

嚥下障害の予防とトレーニング

  • 深呼吸:お腹から息を吸う・吐くを繰り返す深呼吸により、呼吸機能を高めます。
  • あいうえお:あいうえおの形に口や舌を動かすことで口から喉にかけての機能を鍛えます。
  • 発声トレーニング:歌を歌ったり、無理のないカラオケなどでトレーニング
  • 舌や首を動かす:舌はがし、首や舌を動かすことで嚥下機能を鍛えておきます。
  • 咀嚼:食事時には、良く噛みことで唾液を出して、消化機能を助けましょう。1口あたり10~30回がおすすめです。

嚥下障害の治療は、薬よりもトレーニング・リハビリ主体となりますので、日頃から頑張って鍛えましょう。

飲み込みに役立つ特殊な義歯や嚥下補助装置の製作を行います。昭和大学歯科病院

症状等により、嚥下補助装置を作ってくれる場合もありますので、嚥下障害の疑いがある場合は、専門的な病院を受診して診断してもらいましょう。



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